2006年07月09日

恩田陸 『ネバーランド』 集英社文庫 ★★★★


ネバーランド
著者 恩田陸
出版 集英社
価格 514円 (税抜)
ISBN 4-08-747577-8

評価 ★★★★
4人の少年が大人になる一週間合宿

 全寮制の男子校生徒、美国、寛司、光浩の3人は冬休みに帰省せず松籟館に居残ることにする。そこに自宅通学ながら独り暮らしの統が加わり、4人それぞれの悩みや事情を乗り越えていく一週間が始まる。

 と、こう書くとそっち属性の人はそっち系の話かと期待するだろうけど、具体的にそっち系の話はなし。

 同年代が昼夜の行動を通じて悩みを乗り越えていく姿は『夜のピクニック』に通じるところがあって、恩田陸お得意の手法。恩田陸は著作のジャンルが広いようだけど、学園ものを中心に読んでいきたい。

 ちょっとそれぞれの事情が断片的で現実離れしている点もあるけど、かえって男子高生の現実認識力を的確に表現しているようですんなりと受け入れられる。学園ものは読者自身の背景があるので、拒否反応を起こしてしまうとまったくつまらないからね。

  男子高生の相手のいたいところを踏まないようにするやさしさがあふれたこの小説は、女子高生が主人公ではあり得なかったような気がする。それを女性作家が書いてしまうところが男性として恐ろしい。


アマゾンへ

恩田陸 『ネバーランド』 集英社文庫