加納朋子 『いちばん初めにあった海』 角川文庫 ★★★★ 計算し尽くされた箱庭的日常ミステリ
『書店ポップ術』で紹介されていた本。
アパートの騒音に嫌気が差した主人公が、引越のために荷物の整理を始めると、一冊の見知らぬ本が現れた。そしてその本には身知らずYUKIという人物からの未開封の手紙が…
途中展開される、主人公は知らないのに、読者が知っているスリル。そして、読者も知らない結末への展開はミステリそのものでお見事。日常の中に隅々まで計算されてた謎を折り込んだ手法もいい。怖いわけでも、酷いわけでもない、誰かに救われることが沁みる力作。
欲を言えば、2編目の『化石の樹』が、表題作の別側面を描いていればよかったかな。


