奥田英朗 『空中ブランコ』 文藝春秋 ★★★★
「破壊衝動は、要するに自分を壊したいってことだから、代償行為を見つければ、案外収まるんじゃないの?」
伊良部の言葉に、達郎が頭を上げる。治療に代償行為とは初耳だが、理には適っている。まるっきりの痴愚魯鈍の類ではなさそうだ。
「地元の暴走族に入れてもらうとかね。かっ飛ばして、暴れて、スカッとするんじゃない?」(P.122)
精神科医伊良部一郎シリーズ第2弾にして、直木賞受賞作。
相変わらず伊良部総合病院精神科には、飛べなくなった空中ブランコ乗り、先端恐怖症のヤクザ、破壊衝動の精神科医、スローイングイップスのプロ野球選手など、変わった患者がやってくる。
しかしほとんど治療らしい治療はしてもらえず、伊良部の引き起こす騒動に巻き込まれている内に、いつのまにか改善してしまっている。医学的には正しくないんだろうけど、そのお手並みは鮮やか。
今回も伊良部が空中ブランコに挑戦し、ヤクザの大人物になり、歩道橋に落書きをして回り、草野球チームに入り、本を出版しようとする大活躍。
次も読まなきゃ。


