2006年10月31日

吉田修一 『7月24日通り』 新潮社 ★★★★


7月24日通り

著者 吉田修一
出版 新潮社
価格 1,300円 (税抜)
ISBN 4-10-462803-4

評価 ★★★★
「一度くらい間違ったこと、ちゃんとしてみる」

いつもは退屈で仕方がなかったこの朝のバス通勤を、最近なんとなく楽しめるようになったのは、また行ったことのないポルトガルのリスボンという街の地形が、私の暮らす街とどこか似ていることを発見してからだ (P.6)

期待の映画『7月24日通りのクリスマス』原作(サイトを見ると結構アレンジされているみたいだけど)。主演は中谷美紀。

電気屋の父、母の死後一年にして女の影あり。二枚目の弟、選んだ彼女は不釣り合いなほど精彩がない。自分は、長崎の街に行ったこともないリスボンの姿を重ねて退屈をしのぐ自分は、同窓会でずっと好きだった先輩との再会を楽しみにしている。

「間違えたくない」主人公が、自分の殻を破る姿を描く、男性作家らしい無駄のない恋愛小説(無駄がなければいいというわけではないけど)。恋愛の機微みたいなものは薄いけど、一人の女性の成長する姿は爽快。

カバー写真はこの小説にばっちり合っているけど(長崎だから雨という連想は古過ぎ)、暗い話ではないのでご安心を。


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吉田修一 『7月24日通り』 新潮社