2007年02月16日

重松清 『送り火』 文春文庫 ★★★


送り火

著者 重松清
出版 文藝春秋
価格 600円 (税抜)
ISBN 978-4-16-766904-1

評価 ★★★
「家族の切なさ」が
あまりにうまく描け過ぎてしまっていて…

「幸せでした?」

佐々木は一呼吸おいて、「どうなんでしょうね」と答えた。「幸せだったって言われれば幸せだったと思うし、そうじゃないって言われれば、そうじゃないんだろうなとも思うしね、よくわかんないですよ、そんなの」(P.342)

 私鉄富士見線を舞台にした短編9編。奇譚調をスパイスに、家族との別れやすれ違い、時の流れなどを切なく、きれいに描いた。

 廃園の遊園地での家族の思い出を描く表題作の他、パンクの熱狂から15年後の再会を描いた「シド・ヴィシャスから遠く離れて」、末期ガンで入院した父のため富士山が見える霊園探しで出会う人々の交流を描くく「もういくつ寝ると」、帰宅途中にホームのベンチで突然死した幽霊と出会う「家路」など、どれもきれいに切ない。

 なかでは自分がでっち上げた『富士見地蔵』が実は…という「ハードラック・ウーマン」が好み。

 どれもきれいに、上手に描きすぎてしまっているため、どこかで読んだような感じがしてしまう。あざとさも手慣れすぎてて、ちょっと移入できない。

 よかった。まだこの作品にどっぷり浸る歳じゃない。


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重松清 『送り火』 文春文庫