2007年03月08日

江國香織 『ぬるい眠り』 新潮文庫 ★★★★★ どの登場人物もリアルな江國香織の魅力

ぬるい眠り

著者:江國香織

出版:新潮社

価格:514円 (税抜)

ISBN:978-4-10-133923-8

評価 ★★★★★

私は、逝ってしまった夏のことを思った。トオルくんがいて、冬彦くんがいて、ぬるい昼寝のように混沌とした夏。車の免許をとった夏。愛情を埋葬してやった夏。(P.103)

どれか一点が選べないほど、完成度の高い短編集。どれも多分、幸せな話。

帯には『ケイトウの赤、やなぎの緑』という『きらきらひかる』の後日談(というかサイドストーリー)が売りになっているけど、そちらは未読。何度も薦めてくれた人はいたけど。

どの作品の登場人物も、不倫同棲したり、蚤に食われたり、とろとろ過ぎて浮気したり、葬式マニアしたりしながら、とても生き生き自然に描かれていて、視線の高い誇りのようなものを感じる(江國香織お得意のタイプといってしまえばそれまでだけれど)。

江國香織の文章は、とても好みで、見習いたい。