江國香織 『ぬるい眠り』 新潮文庫 ★★★★★ どの登場人物もリアルな江國香織の魅力
私は、逝ってしまった夏のことを思った。トオルくんがいて、冬彦くんがいて、ぬるい昼寝のように混沌とした夏。車の免許をとった夏。愛情を埋葬してやった夏。(P.103)
どれか一点が選べないほど、完成度の高い短編集。どれも多分、幸せな話。
帯には『ケイトウの赤、やなぎの緑』という『きらきらひかる』の後日談(というかサイドストーリー)が売りになっているけど、そちらは未読。何度も薦めてくれた人はいたけど。
どの作品の登場人物も、不倫同棲したり、蚤に食われたり、とろとろ過ぎて浮気したり、葬式マニアしたりしながら、とても生き生き自然に描かれていて、視線の高い誇りのようなものを感じる(江國香織お得意のタイプといってしまえばそれまでだけれど)。
江國香織の文章は、とても好みで、見習いたい。


