太田直子 『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』 光文社新書 ★★★★ エッセイ(愚痴?)から知る字幕屋の苦労と喜び
映画の字幕翻訳は、本などの普通の翻訳と大きく違う。俳優がしゃべっている時間内しか翻訳文を画面に出せないので、せりふの内容をコンパクトにまとめる必要があるのだ。そうしないと読み終える前に画面から文章が消えてしまい、観客はストーリーを把握できなくなってしまう。言うなれば字幕は、「要約翻訳」なのである。(P.22)
日頃お世話になっておきながら、意識したことのなかった字幕屋さんの苦労話。配給会社と戦い、禁止用語と戦い、時には観客とも戦う著者の“字幕屋魂”は天晴れで、字幕屋の苦しみも喜びも十分に伝わってくる良質のエッセイ。著者の作品リストはこちら(でもちょっと古いかも)。
「1秒=4字」の制約で字幕をひねる出していたとは驚き。「制限字数内に要約するには心情を読まねばならないのだ(P.218)」との言葉には、ただただ敬意。これからは心して字幕を読むことにするよ(本意じゃないだろうけど)。
文章に勢いも、まとまりもあるので、一気に書き上げたのかと思ったら、毎月締め切りを設定され、やっと書き上げたらしい。次作は難しいかな。もっと読みたい人は通訳翻訳WEBの酔眼亭夜話をどうぞ。


