小池真理子 『夜は満ちる』 新潮文庫 ★★ 短編だからかもしれないけどひねりがなさ過ぎ
渦を巻く霧の中、夥しい数の蛍は悠然と泳ぐようにして沼の上を飛びまわる。点だった光が線になり、線だった光が束ねられて輪になり、弧を描く。やがて輪が崩れ、再び線になり、点に戻る。その光の競演が、沼の黒々とした水の面に映し出され、そこに霧が流れてきて、時折、視界に白いヴェールがかけられる。(P.255)
苦手なホラー小説だとは知らなくて買ってしまった。名前の響きだけに釣られてはいけないね。
7編からなる短編集で、色の表現や、雨や霧などの舞台装置、ときたま難しい字を使うことによってできる文章の粘質化など、文章としてうまい(どれも女性視点の一人称だったけど、他の書き方もできるのかな)。
ただ短編だからなのか、ストーリーにひねりがなくて、どれもパターンが同じでもったいない。


