服部雄一 『ひきこもりと家族トラウマ』 生活人新書 ★★★★★ ひきこもりは日本社会が解消しなければいけない病
日本社会に100万人のひきこもりがいると言われています。ひきこもりとは、いったいどんな病気なのでしょうか。「病気」と言うことに抵抗がある方もいるでしょうが、心理研究所に来るクライアント(相談者)に対して、私はひきこもりを病気として説明しています。(中略)ひどいひきこもりは自然治癒することはなく、本人や周囲の努力では治りません。専門知識をもった精神科医やセラピストがきちんと治療しないかぎり快復しない心の病だと言えます。(P.10)
狭山で心理研究所を開く著者が、ひきこもりの多くが家族との関係を原因とするアタッチメント・トラウマをかかえること、そしてそれは精神論では快復しないことを主張。
アメリカでの生活や交流から、ひきこもりが日本特有の現象であることから、日本的文化-和の精神、教育制度、価値観、いじめなど-のゆがみがひき起こす社会的病気であると提起し、精神科医やセラピストによる専門的な治療が必要だと訴える。現場にいるだけあって、説得力満点。
ひきこもりがなぜ親を殺すのか、その一方、親が死んだら隣で餓死するしかないという人生観をもち続けることが、いかに過酷であるか想像を絶する。
ひきこもりの精神がここまで追い詰められているとは考えていなかった。なんでも精神病にする風潮は嫌いだけど、精神病と認定してでも、社会で対策を考えていかなくてはいけない。
ひきこもりを抱える家族も、周囲も、社会にも問題を突きつける迫力の一冊。


