佐藤多佳子 『しゃべれどもしゃべれども』 新潮文庫 ★★★★ いいひとを探しに寄席に行ってみたくなる
自信って、いったいなんだろうな。
自分の能力が評価される、自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる-そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を“良し”と納得することかもしれない。“良し”の度が過ぎると、ナルシズムに陥り、“良し”が足りないとコンプレックスにさいなまれる。だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがなく、たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくとみっともなく日々を生きている。(P.220)
二つ目の噺家、今昔亭三つ葉。何故か話し方教室として、『まんじゅうこわい』を教えることになってしまう。しかし集まってくるのは、生徒の前でしゃべれなくなるテニスコーチ、身体中で他人に喧嘩を売っている黒猫、関西弁を操る小学生、現役を引退した代打仕事人。 それぞれに問題を抱え教室にやってくる。
嫌がりながらも世話を焼いているうちに、三つ葉も自信を喪失し…発表会の日がやってくる。
国分太一主演映画の予習に読んだけど正解。400ページほどの厚めながら、テンポのいい文章は一気に読める。筋書きも映画向き。
三つ葉の江戸っ子で、口では嫌がりながら、気になって仕方がなく、不器用に世話を焼くところが人間味があってとてもいい。続きも読みたいなぁ。


