2007年11月30日

尾木直樹 『「カプセル家族」の危機  続発する家庭内殺人』 学研新書 ★★

978-4-05-403457-0.jpg

著者 尾木直樹
出版 学習研究社
価格 760円 (税抜)
ISBN 978-4-05-403457-0

評価 ★★
「カプセル家族」という造語に酔いすぎ

 わが子をせめて「下流」にだけはすまいという親たちが、自分たちの最低限の責任であり、愛情であると考えて、受験圧力をかけ、少しでもブランド中学、高校にと競うのである。つまり、下流の人々は気にしないものの、可能性と流動性の高い中間層以上の親たちが“家族カプセル”状況でわが子を叱咤激励しているのである。この内圧が家族内殺人へと変形しているようである。(P.177)

 以前読んだ『こんな子どもが親を殺す』と同じ事件を題材に、家族内殺人を分析。元教師として、それぞれの犯人を特殊性、異常性を煽るのではなく、現代の少年少女なら誰もが遭遇する共通の問題と捉える。

 その前半のアプローチはいいのだけれど、後半はおそらく自らの造語である「カプセル家族」という用語にとらわれすぎて、教育再生や家庭再生、地域再生への提言は一般的、奇麗ごと的過ぎる感じがする。

 つまり個々の事件を「カプセル家族」といった概念に集約化してしまったために、「カプセル家族」解消のための提言が、そのまま個々の事件の処方箋となっていない。

 地道な教育再生ももちろん重要で、最終的には効果も高いのだろうけど、何かひとつでも、この目の前に差し迫った状況への助言がほしかった。それが小手先の解決方法であるとしても。

 残念ながらこの本も★★だけど、著者のせいではなく、この問題が複雑、深刻で新書一冊で解決するような問題じゃないことの現われだと思う。

 ところでこの本。なぜかアマゾンでは登録すらなく、bk1では「弊社では現在お取り扱いができません」。ショップ.学研でも見つからない。なぜ?