2007年12月04日

松永和紀 『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』 光文社新書 ★★★ 痛快だけど、科学の限界も見えたような気も

メディア・バイアス

著者:松永和紀

出版:光文社

価格:777円 (税抜)

ISBN:978-4-334-03398-9

評価 ★★★

 私は、難しい農業に果敢にチャレンジしている多くの有機農家を尊敬していますが、残念ながら中には農薬がどれほど危ないかを力説して他の農家を貶め、「だから有機農業は素晴らしい」と主張するタイプの農家がいるのです。

彼らは、現在農薬を使っていないのですから、農薬に関する最新知識を持ちません。彼らが語る危ない農薬、危ない農業は、往々にして二十年前、三十年前の農業の姿です。(P.145)

世にはびこる単一食材を勧める健康情報番組やマイナスイオン、「水からの伝言」など似非科学を科学的根拠がないと切り捨てていく姿は痛快で楽しい。

だけど、返す刀で食品添加物や農薬を擁護されるのは、ちょっと困りものだ。

二十年、三十年前に使われていた農薬が、現在は制限・禁止されているように、現在許可されている農薬が、これから二十年、三十年後にも安全であると言い切れるだろうか。

科学だって覆る可能性は常にある。そのリスクを負いたくないという生産者、消費者の選好を貶めるいわれはない。

似非科学は選ぶと害になるけど、添加物の少ない食品や有機栽培の食材を選んでも、少なくとも害になる度合いは少ないように思う。いくら著者が安全だと教えてくれても、食品添加物や農薬を使った食材を積極的に選ぶベネフィットは見当たらなかった。

選ぶ 選ばない
似非科学 ×
無添加・無農薬

この論理か意識の食い違いが、意図的にか無視されているのが、この本自身からも何らかのバイアスを感じてしまう理由だと思う。