土井隆義 『友だち地獄 -「空気を読む」世代のサバイバル』 ちくま新書 ★★★★
彼らは、複雑化した今日の人間関係をスムーズに営んでいくために、彼らなりのコミュニケーション能力を駆使して絶妙な対人距離をそこに作り出している現代の若者たちは、互いに傷つく危険を避けるためにコミュニケーションへ没入しあい、その過同調にも似た相互協力によって、人間関係をいわば儀礼的に希薄な状態に保っているのである。(P.47)
関係が希薄だとされている若者同士のコミュニケーション-空気を読む、ケータイメール、ブログ-がいかに彼らが渇望する自己承認のための濃密なツールとなっているか、そしてそれが侵されたときの過剰とも見える反応が理解できる若者事情解説書。
ちょっと自己都合的な分析があるけど(それが社会学的じゃないという批判は多分あっていない)、若者の「生きるキツさ」を見事に解説。特に第2章の高野悦子と南条あやとの対比は見事。
以前母校で高校生と話す機会があり、何気なく「高校生くらいで進路(=自分)なんてわかる訳ない」と言ったら拍手がもらえたことを思い出した。どんな時代でも若者は生きづらかったと思うけど、「自分らしさの追求」という言葉で人間形成を丸投げされた「ゆとり世代」もたいへんなのだろう。
処方箋というほどのものじゃないけど、世代間でつらさを表現する場を持つことも大事なんじゃないかな。
ところで、一番希薄な対人関係は「ありえなーい」と「わかるー」しかいわない“おばちゃんトーク”だと思うけどどうでしょう?


