NHK「名ばかり管理職」取材班 『名ばかり管理職』 生活人新書 ★★★★
第1章 若き「正社員」の悲劇(P.38)「フリーター時代が長かったので、せっかく手に入れた正社員の座を失いたくなかったんです。もちろん何度も辞めようと思いました。けれども、正社員をわずかな期間経験しただけでまたフリーターに戻ってしまうというような選択肢は、自分としては絶対にとりたくなかった」
この仕事は、就職氷河期を経験した清水さんにとって、初めて手にした「正社員として働く場」だった。それは、不安定なフリーターから抜け出して自分の新しい将来を描こうとする夢の始まりだったのだ。
非正規労働の次に明らかになった「名ばかり管理職」を、NHKが全国から取材した力作。コンビニやファミレス、マクドナルドだけでなく、工場や一般企業まで広がっている実態が明らかになった。
営業時間の長時間、24時間化や販売員の非正規化によって、唯一の正社員で管理職の店長の負担が増加し、長時間労働化。精神、体調を崩し、過労死まで引き起こしている。こんなひどい労働の押し付けが、正社員の責任感や正社員になったやる気につけ込んでいるのに怒りすら感じる。
一方で、管理職に取り立てられたことによって、使命を感じて結果的に長時間労働になってしまっている人もいる。彼らからしてみれば、行政に「あなたは管理職じゃない」と宣告されることに憤りを感じるのもよく分かる。この両面取材はさすがNHK。
だが、残業代をもらわないことが管理職の必要要件じゃない。残業代をもらったって、管理職の職務は全うできる。「管理監督者」=「管理職」=「残業代なし」は勘違いであることを、もっと多くの人が知る必要がある。
管理職でも、労働ややる気にはきちんと対価が得られる企業であるか、これからはそんな目で企業を見ていきたい。


