2008年11月23日

大山典宏 『生活保護VSワーキングプア』 PHP新書 ★★★★ 生活保護報道をきちんと見る視点を提供

生活保護VSワーキングプア

著者:大山典宏

出版:PHP研究所

価格:720円(税抜)

ISBN:978-4-569-69713-0

評価 ★★★★

第六章 プチ生活保護のススメ(P.214)

すでに述べたとおり、現在の生活保護の運用では、ケースワーカーがどのような努力をしても、その努力を否定するような批判が巻き起こります。「何をしても批判される」という状況は、その職場で働くケースワーカーの向上心を著しく減退させます。利用者本位のサービスを心がけ、真摯にその自立を支援を支援することで自らの評価が上がるなら、ケースワーカーはそれに向けた努力は惜しまないでしょう。

保護すれば税金の無駄遣いと批判され、しなければ人権無視と批判される生活保護の現場から視点を提供する力作。

ケースワーカーによる判断とマスコミ報道の視点の違いや、そこで切り捨てられてしまっている問題点の指摘は、今まで偏った見方をしていたことを気づかせてもらえる。

一般に報道されている生活保護の切り捨ては高齢者ではなく、20代から50代の生活保護が大幅に減少しているという資料(P.119)には驚かされた(といっても統計上で個々には問題のあるケースも合ったろうけど)。

著者の提言する「入りやすく、出やすい」生活保護の実現はそう簡単ではないだろうけど、今後、労働人口の減少する日本社会では、いつまでも生活保護を受けて、労働に参画できないのは社会的損失だとして、対処すべきだろうね。

特に精神的な病気で社会に復帰できなかったり、ワーキングプア(低賃金、短期、非技能蓄積型労働)で生活が困難な人には、生活保護としてひとつの制度で対応するのではなく、労働への復帰可能な人には、リハビリや職業訓練を兼ねた新たな制度で援助することも考えたい。